蔵元の技とこだわりが様々な味わいとなる『本格焼酎(焼酎乙類)』。 産地や銘柄などによって、まさに千差万 別の風味が堪能できるお酒ですが、原材料、麹菌、貯蔵といった造りの舞台裏を知ることで、その酒質の傾向をある程度把握することができます。 これはすなわち、あなたが「旨い」と思った焼酎のレシピを知れば、自分好みの一杯を探る大きな手がかりになるということ。 自分好みの焼酎を見つけたい、次の一杯はこんなのがいい…そんなツウな愉しみ方がぐんと身近になることでしょう。 さあ、「焼酎道楽」の始まりです。

もちろん、理屈やう んちくだけでは語れないのが、本格焼酎の面白さ。自分の舌で味わって「旨い」と感じることこそ、真のお酒の愉しみ方です。知ったつもりのお酒でも口にして みると、また新しい発見があったりするもの。何よりも愉しみながら味わってこそ、本格焼酎ツウへの道です。

 
本格焼酎の酒質の傾向を決める様々なレシピたち。 それぞれの特徴を簡単に説明していきましょう。
 

素材の旨みこそ、本格焼酎の味わいの基本中の基本
大麦

ウイス キー同様、本格焼酎に使われるのは主に二条大麦。 香ばしさ、軽やかさが「麦」の特徴ですが、米麹と麦麹 のどちらを用いるかによってもその味わいが異なります。

日本酒 の原料としてもご存じ「米」は、旨みやまろみ、 芳醇さが特徴。米焼酎のほか、泡盛も米を原料に造られ ますが、米焼酎と異なり泡盛ではタイ米が使われます。

さつま芋
ここ最近急激に人気上昇中の原料といえば「さつま芋」。 甘みやコクに加えて、芋焼酎には、水や湯で割ろう とも風味のバランスを損なわないという魅力もあります。
胡 麻
健康食としての魅力と、特有の香ばしさから広く愛される 「胡麻」。でんぷん質が少なく油分の多い胡麻を焼酎の 原料として根付かせたのは福岡の紅乙女酒造の功績。
麦 麹 ・ 米 麹
でんぷん質を糖化してアルコール発酵を助ける「麹」。 麹と主原料の組合せが風味のバリエーションとなり、 麦麹はさっぱりとした風味、米麹は甘さをもたらします。
 
○その他の農産物
上 記の他、サトウキビを原料とした「黒糖」、特有の風味と軽やかな飲み口 が愉しめる「蕎麦」をはじめ、地域に根ざした様々な農産物から醸される 本格焼酎の世界には、まだまだ未知の旨さが秘められているといえそうです。
 
発酵の鍵を握る麹菌は3種類、 それぞれ特有の味わいをもたらします。
黒 麹
ふくよかで力強い、コクのある豊かな味わいを生むとされ、 泡盛造りに用いられることで知られる「黒麹」。手入れが 大変なため、一時期あまり使われていませんでしたが、独自 の風味が今また見直されています。
白 麹
「白麹」は最も一般的に使われる焼酎麹。扱いやすく、 仕上った焼酎は軽快でおだやか。日本人好みのまろやかな 味わいに仕上がることから広く普及し、日本の焼酎造りに おいて不可欠な麹となっています。
黄 麹
日本酒に欠かせない「黄麹」は、もともと黒麹より前に 本格焼酎に使われていた伝統的な麹。繊細で管理が難しい ため影を潜めていましたが、研究の末に近年復活。 華やかな香り、きれいな味に仕上がるといわれています。
   
素材の旨みや個性をどう引き出すか、日本酒にはない 重要工程。

常圧蒸留

文字通り大気圧下で行う蒸留法。香気や香味成分も 醪から豊富に出るため、原料の個性が活きた濃醇な 焼酎となります。芋焼酎や黒糖焼酎、泡盛などで主に 行われ、熟成向きの酒質になるといわれています。
減圧蒸留
真空ポンプで減圧状態にして、醪の温度が低い状態で 蒸留します。そのため醪からの揮発成分が抑えられ、 クセがなく軽やかな酒質、やわらかな香味に仕上がります。 米焼酎、麦焼酎、そば焼酎などでよく行われています。
   
荒々しい若さを持った原酒は、寝かせることでまろやかな 酒質に。
長期 貯蔵
「長期貯蔵」は、3年以上貯蔵した焼酎が総量の50% を超える場合のみつけられる特別な呼称。熟成によって、 まろやかで深みのある酒質となります。ここで肝心なのが、 すべての焼酎が貯蔵すれば旨くなるというわけではない こと。芋焼酎などは、新酒で飲むのが定石となっています。
 
貯蔵容器も味わいの個性の決め手  
〈樽 貯 蔵〉
熟成の過程で樽の奥深い香りや色合いを原酒にもたらします。
〈タンク貯蔵〉
香りなど容器からの不要な影響を与えずに原酒を熟成させます。
〈甕 貯 蔵〉
甕の呼吸作用や遠赤外線効果からマイルドな味に仕上がります。